RSS RSS 2.0

NPO法人 縄文楽校 » キキョウの園

キキョウの園

浜松市北区にある三方原防風林。現在はその役目を終え、道路に挟まれた草原の中に松がところどころ生えているだけとなっています。
わたしたちがキキョウの園と呼ぶのはその一角を木の柵で囲った場所です。
遠くから見ると「なんだ原っぱか」と思われるようなその場所は、実は大変興味深い場所だったのです。

よくぞ残った防風林

右の写真で見るぶんには、ただの原っぱに思えるかもしれませんが、周囲が次々と開発されていくなかで防風林がそのまま残されたため、不自然な形で道路に挟まれた空間が出来上がりました。

三方原大地はもともと不毛の地で、高い木々がそびえる森や林などが多かったわけではなく、畑や住宅地を作るには適した場所でした。そのため、「大原浄水場」や一般企業など、大きな敷地をもつ建物と、農地が大部分を占めています。

防風林の役目を終えたこの土地は、仮に新しい都市計画などが始まれば、いつ開発されてもおかしくない状態でした。

そんな中ある女性が見つけた植物によって、この土地の存在が大切な意味を持つこととなったのです。

 

キキョウの園 全体図→PDFで開く(3MB)

ナガボナツハゼ

”ナガボナツハゼは世界の中で、三河、天竜川以西にしかないというスノキ属の日本のブルーベリーで、稀に生える絶滅危惧種のⅠのBランクです。スノキ属植物は世界の酸性土壌の不毛地で生きのびてきました。” ~安藤さんより~

安藤さんが偶然見つけたこの花は、現在のところ世界中を見回してもごく一部にしか自生していないそうです。

開花は5月ごろ。三方原には白と、白紅色の二色があるようです。

周囲にはススキやアザミといった強い植物が多く、埋もれがちになるので、多少周囲の草を刈らせてもらっています。

研究者の方や、調査のために訪れる方もあり、今のところ安藤さんを中心としてわたしたちもこの土地の手入れを行っています。

>>浜松市のナガボナツハゼの分布・DNA解析・組織調査(PDF)

キキョウ

キキョウと言うと珍しいものではないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、園芸用のキキョウではなく自生のキキョウというものは、そうそう簡単に見つかるものではありません。

開花時期は6月~8月前後。この「キキョウの園」には数十株のキキョウが生えており、その時期になると目立つ青色が点々と現れます。

この花も周りの草より弱く、1mにもなるススキなどの影響によって発育不全をおこします。

この場合も多少周囲の草を刈らせてもらい、ある程度手助けをしてあげます。

ササユリ

ユリというとヤマユリ、オニユリ、テッポウユリ、カサブランカなどがよく知られていますが、人によっては希少種であるササユリを上位に挙げる方もいらっしゃいます。

これには東日本にはほとんど生息していないということや、ある地域には数千~数万本もの群生地があること、ヤマユリなどと混同してしまうなどの理由が考えられます。近年野生のササユリが著しく減少していることがわかり、各地で保存会などが発足しています。

→「ホタル・ユリの会」(三重県伊賀市湯舟)
→ササユリの里「天神原植物園」(静岡県賀茂郡南伊豆市)

葉が笹の葉に似ていることからそう呼ばれているササユリ。このキキョウの園周辺には一面に笹があり、花が無ければ見分けるのは至難です。

開花は5月下旬~6月ごろ。桃色が主ですが、まれに純白のものも見られるそうです。

取り返しがつかなくなるまえに

自然は常に変化していくもので、この自然の中には人間の存在も含まれるわけです。ですから極端な話、人間が変えてしまった環境は「在るがままの自然」と言えなくもないかもしれません。

これは言い訳に過ぎないかもしれませんが、わたしたちが自然のことを想い、手助けを行うこともまた自然の流れなのではないでしょうか。

そしてわたしたちにその力が備わっている以上、「失うべきではないもの」を知ることも大切なことであると考えます。もし興味をもっていただけたなら、それだけでも嬉しいことです。

外側には地元小学生のみなさんが描いてくれた想いが飾られています。花の見学をされたい場合には、周囲に柵があるため一度ご連絡をお願いします。